商品マスタとは?作成方法・管理手順・設定方法など基礎解説

商品マスタとは

2024年11月27日

2024年10月13日

商品マスタ

ビズリポ編集部

Eコマースや小売などの業界では、商品情報を正確に管理することが求められます。ですが、販売チャネルや仕入れルートが多様化している現代において、商品情報を適切に管理する難易度は極めて高くなっています。

本記事では、商品マスタの作成方法と維持管理の手順、運用を効率化する方法について解説します。

商品マスタとは?

商品マスタ

商品マスタとは、企業が商品の仕入れ・販売・在庫状況などを管理するために、商品の基本情報(商品名、商品コード、価格、仕入先、色、サイズなど)を一元管理するデータベースのことです

商品を適切に仕入れたり販売したりするには、さまざまな管理システムを使って商品を管理する必要があります。

たとえば、実店舗で商品を販売している事業者なら、POSシステムなどを使って、どの商品がどのくらい売れたか管理しているはずです。

同時に、バックヤードや物流倉庫では、在庫管理システムなどを使って、商品在庫がどの程度残っているか管理しているでしょう。

オンラインでも販売している事業者ならば、ECサイトの出品システムにも商品情報を登録していますよね。

商品マスタとは、こういった管理システムを動かすために必要な「商品の識別情報」を一つにまとめたデータベースのことです。

なぜ必要? 商品マスタが重要な理由

いま流通業界では、販売チャネルの多様化が急速に進んでいます。

直販店舗、大手流通への卸売など従来からある販路に加え、Amazonや楽天市場をはじめとするECモールへの出品、EC直販サイトでの販売、カタログ通販、ライブコマース…。

テクノロジーやメディア環境の変化に合わせて、販売チャネルは増え続けています。

これら多様なチャネルで商品を販売していくためには、各販売チャネルの要件に合わせて商品情報データを用意し、システムに入力したり、所定のファイルにまとめてアップロードしたりする必要があります。

その結果、自社の取り扱い商品の情報は、いくつものプラットフォームに分散することになります。しかも、商品情報の登録様式は、個々のシステムによってまったく異なるのが普通。そのため、たとえば、Amazonに出品している商品Aが、自社直販ECサイトのどの商品と同じものなのか、在庫管理システムのどの商品を指しているのかが分からなくなってしまうのです。

このような状態で、販売チャネルが次々に増えていくと何が起こるでしょうか。

自社の取り扱い商品のラインナップはどのようなものなのか、どの商品がどのくらい売れているのか、在庫はいつなくなりそうなのか、といった情報を、まったく把握できなくなってしまうでしょう。

そういうことを防ぐために、商品マスタの重要性が高まっているのです。

商品マスタを適切に整備すれば、各システムにあるそれぞれの商品を、システム横断的な商品コード(商品ID)によって識別することができるようになります。これにより、販売チャネルや管理システムがどれほど増えても、自社の取扱商品を正確に把握でき、個々の商品の販売状況や在庫状況を適正にコントロールすることができるようになるのです。

商品マスタを整備しないことによる弊害とリスク・デメリット

商品マスタを適切に整備しない場合、どのような弊害に見舞われるのでしょうか。

お客様からよく挙がる課題として、次の3つがあります。

  1. 業務工数・運用コストの増大
  2. 販路を拡げられないことによる機会損失
  3. データ分析できないことによる判断ミス

順に解説していきます。

①業務工数・運用コストの増大

商品マスタを適切に整備していない場合、商品管理にかかわるあらゆる業務工数が大幅に増えることになります。

たとえば、ECモールへの出品作業をするとき。基軸となる商品データがないため、担当者は自ら必要な商品情報を集めてこなければなりません。実際、仕入先から受け取った商品リストのデータを苦労しつつ変換し、モール出品用のデータに加工しているという話は、かなり頻繁に耳にします。

しかも、こうした問題は、出品作業だけでなく、受注処理や在庫管理でも起こることになります。商品の重複出品、予期せぬ在庫切れや仕入れ時の誤発注、返品率やクレームの増加といった問題が発生しやすくなるため、その対処や顧客対応に大きな労力がかかってしまうのです。

結果、従業員の時間や労力が奪われることになり、それがそのまま人件費として跳ね返ってくるという訳です。

②販路を拡げられないことによる機会損失

商品マスタを適切に整備していない場合、簡単には販売チャネルを拡げられなくなります。これは、本来ならば得られた利益を逃してしまっているという点で、大きな機会損失でしょう。

たとえば、実店舗向けに商品を卸売している事業者が、新たにAmazonと楽天市場でも商品を販売しようと考えたとします。こんなとき、商品マスタが適切に整備できていれば、マスタの商品データを使って、比較的簡単にAmazonや楽天市場向けの出品用データを作成することができます。

しかし、もし商品マスタを整備していなかったら?

仕入先から受け取った商品リストを片手に、一つずつ出品用データを作る羽目になります。仕入先からもらった商品リストは、商品名も書式も統一されてはいません。同じ商品でも仕入れ時期によって異なる商品名が付けられているかもしれません。商品カテゴリも仕入先担当者の勘で入力されたものに過ぎないでしょう。

このような状態では、すぐに販路を拡げることは不可能です。

③データ分析できないことによる判断ミス

商品マスタを適切に整備していない場合、販売データをうまく分析することができません。どの商品が、いつ、どのくらいの売上を作っているのか正確には分からない、ということになりかねないのです。

なぜなら、同一商品であっても、販売チャネルや管理システムによって、使っている商品コード(商品ID)や商品名などのデータは異なるからです。

これでは、たとえば、ある一つの商品の合計売上を算出するだけでも、かなり面倒なデータの突合作業を経なければならなくなります。欲しいデータを取り出すのに時間がかかりすぎてしまうため、具体的な戦略判断にはほとんど使えません。

従って、どの商品にどの程度の戦略的投資を行っていくべきか、といった経営判断から、次の仕入れではどのカラーバリエーションを多めに仕入れるべきか、といった業務レベルの判断まで、一時が万事、あやふやなデータに基づいて判断することを余儀なくされてしまいます。

商品マスタを整備しないことによるこれらの弊害は、多様な販売チャネルや仕入先を持っている事業者ほど甚大なものになります。

まずは、いまみなさんが感じている課題が、商品マスタの不備によって引き起こされているものではないだろうか?という視点で振り返ってみてください。

商品マスタの作り方は? 商品マスタ設計の5ステップ

ここからは、上に挙げたような問題を起こさないための “使える” 商品マスタ設計方法について解説していきます。

基本的な流れとして、次の5つの手順で進めます。

  1. 目的の整理
  2. 管理すべき商品情報の洗い出し
  3. 商品コード(商品ID)の設計
  4. マスターテーブルの作成
  5. 登録マニュアルの作成

【商品マスタ作成手順1】目的の整理

最初に、商品マスタを整備する目的を明確にする必要があります。

商品マスタは、マスタという特性上、いちど型を決めて運用に乗ってしまうと、後から作り変えるにはある程度の労力を要するものです。

そのため、設計に着手する前に、これから作る商品マスタでどんなことを実現しようとしているのか明確にしておいた方が良いです。

まずは出品作業や受注処理、在庫管理の現場担当者にヒアリングを行い、どのようなワークフローで業務が進められているか確認してみましょう。

その上で、これから整備する商品マスタで新たにどんなことを実現したいのか、一つずつ言語化していきます。

  • 取り扱い商品のラインナップを一箇所で確認できるようにしたい
  • 新たな販売チャネル向けの出品用(納入用)データを楽に用意できるようにしたい
  • 商品の価格変更を各販売チャネルに迅速・正確に反映できるようにしたい
  • どの販売チャネルにも一貫した商品情報を提供できるようにしたい
  • 複数チャネルで販売している商品の、商品別・商品カテゴリ別合計売上を簡単に把握できるようにしたい

たとえばこんな具合です。

一通り挙げられたら、それぞれの内容を見比べてみてください。そして、「これが実現したら、他の3つも自動的に実現しそう」といったように、それぞれの関係性を整理していきます。

あくまで一例ですが、このようにして、最初に何を目的に商品マスタを整備するのか言語化しておくことが重要です。

【商品マスタ作成手順2】管理すべき商品情報の洗い出し

商品マスタの項目(属性)

次に、商品マスタで管理すべき情報(項目)を決めていきます。

以下に代表的な商品マスタの項目例を紹介します。

商品識別のための情報

  • 商品コード(商品ID)
  • 商品名
  • 型番
  • JANコード
  • 商品カテゴリ
  • サイズ

仕入れに関する情報

  • サプライヤー・仕入先
  • メーカー
  • 仕入単価
  • 納期

販売に関する情報

  • 販売単価
  • 消費税率
  • 配送業者

ここでは、【作成手順1】で整理した目的を達するためにはどんな情報を載せた商品マスタが必要か? という観点で洗い出しを進めてください。

もちろん、仕上がった商品マスタをどんな業務フローで活用するかによって、載せるべき項目は異なってきます。

各業務の具体的なワークフローを考慮に入れながら、どんな項目をマスタに入れるべきか判断するようにしてください。

【商品マスタ作成手順3】商品コード(商品ID)の設計

続いて、商品コード(商品ID)の設計です。

商品コードは、商品マスタには欠かすことのできない最重要項目です。というのも、商品コードは、商品をSKU単位で識別するのに絶対に必要となる情報だからです。

たとえば、「商品名」の項目では、SKU単位で商品を識別するのには使えません。同じ商品の色違いやサイズ違いにも同一の商品名を登録することがあるからです。

そもそも商品コード(商品ID、商品管理番号)とは?

商品コードとは、事業者が商品を識別するために割り当てる識別子(文字列)のことです。原則として、1SKUごとに一意のコードを割り当てます。

事業者やプラットフォーム、管理システムによっては「商品ID」「商品管理番号」などと称されることもあります。

  • 4729371829801
  • SC0221VX87003

前者のように数字のみを使用する場合もあれば、後者のように数字とアルファベットを組み合わせている場合もあります。

商品コードの種類

商品コードには、各事業者が独自に作成したものの他に、共通規格のように複数事業者で使用されているものや、プラットフォームが独自に付与しているものがあります。

たとえば、以下のようなものです。

  • JANコード
  • ISBNコード
  • 日本図書コード(書籍JANコード)
  • ASINコード(Amazon Standard Item Number)

商品コードのコード体系(命名規則・採番ルール)を整備する

商品コード

商品コードは、商品マスタで管理しているいくつかの項目を2〜5文字程度の「部品」に変換し、それらを組み合わせて1つのコードとして生成する仕組みで運用します。

この仕組みのことを「コード体系」と言います。要するに、命名規則であり採番ルールです。
以下で具体例を示しながら解説します。

コード体系(命名規則・採番ルール)の具体例

たとえば、「SC0221VX87003」という商品コードを用いる場合、そのコード体系は、次のように分解することができます。

  • 仕入先コード:SC
  • 納期コード:02
  • 販売チャネルコード:21
  • 商品カテゴリコード:VX
  • 通し番号:87003

この例では、商品コードは、仕入れ先コード(2桁)+納期コード(2桁)+販売チャネルコード(2桁)+商品カテゴリコード(2桁)+通し番号(5桁)で成り立っています。

部品コードの管理方法

それぞれの部品コードは、「仕入先マスタ」「販売チャネルマスタ」などのマスタを別途作成し管理するのが望ましいでしょう。

データ分析や他のデータベースとの連携のしやすさなどを踏まえて、どの項目を部品コードとして埋め込むか判断してください。

商品コード設計のポイント&注意点

商品コードの設計は、商品マスタの有用性を左右する重要なプロセスです。その設計にあたっては、次の4つのポイントに注意して進めるようにしてください。

  1. コードを重複して使えないようにする
  2. 将来的な拡張性を確保しておく
  3. 各種システムと互換性を持たせる

【注意点1】コードを重複して使えないようにする

商品コードは商品を識別するためのものなので、同じコードが重複して使用されるような状態は絶対に避けなければなりません。命名規則に矛盾があると、意図せず重複したコードが生成されてしまうことがあります。絶対に重複が起こらないようコード体系を組み立てるようにしましょう。

【注意点2】将来的な拡張性を確保しておく

事業が成長すれば、商品ラインナップは拡大する可能性が高いでしょう。従って、商品コードには将来的な拡張性を持たせておく必要があります。新しい商品カテゴリや販売チャネルの追加に柔軟に対応できるよう、桁数に余裕を持たせたコード構造を採用するようにしましょう。

【注意点3】各種システムと互換性を持たせる

商品コードは、在庫管理システム、POSシステム、ECショップ・モールなどの出品ツール、CSVファイルなど、さまざまなシステムやツールで利用することになります。従って、これらのシステムやツールがサポートしている文字形式や桁数(字数)を確認し、互換性を確保するようにしましょう。

【商品マスタ作成手順4】マスターテーブルの作成

商品マスタの作り方(例)

商品コードが設計できたら、次は商品マスタ用のテーブル(表)作成です。初期段階では Microsoft Excel や Googleスプレッドシートなどの表計算ツールを使用するのが一般的です。

基本的には、商品コードを識別子としつつ、【作成手順2】で洗い出した各項目をカラムヘッダーとして表を組めばOK。

テーブル作成自体は至ってシンプルなので、表計算ツールの操作さえできる人であれば、つまずくことはありません。

【商品マスタ作成手順5】登録マニュアルの作成

最後に、商品マスタに商品情報を登録する際のルールをまとめたマニュアルを作成しましょう。

作業者によって登録の仕方がバラバラになってしまっては、マスタの意味がなくなってしまいます。誰がやっても同じようにマスタ登録がなされるよう、手順やルールを定義してください。

マニュアルには、次のような内容を記載しておくと良いでしょう。

  • 新たな商品の登録手順
  • 商品コードの発番(発行)方法
  • 商品カテゴリの付与ルール
  • 登録時の文字形式や字数などに関するルール

商品マスタ作成時のポイントと注意点

商品マスタを作成する際は、次の4つのポイントに注意して進めてください。

  1. 独自の商品コードを使用する
  2. 項目は最低限必要なもののみに絞る
  3. 社内の商品マスタは一元化する
  4. 定期的にメンテナンスを行う

独自の商品コードを使用する

商品マスタの「商品コード」に、出品先ECモールの商品コードやJANコードなどをそのまま流用しているケースを目にすることがあります。

確かに、そうすれば、商品マスタ上の商品コードと、ECモールなどの商品コードや商品管理番号を一致させられるため、運用上メリットが大きいようにも思えます。

ですが、この方法はあまりおすすめできません。

なぜなら、この方法では、ECモールなどへの商品登録を済ませてからでないと、商品マスタに情報を登録することができない、という状況になりかねないからです。

これでは順序が逆です。商品マスタ上に存在しない商品が、モールに商品登録されている状態になるため、業務上・システム上の混乱や不具合を招く可能性が高いです。

こういった問題を避けるため、商品マスタには、必ず独自の商品コードを用意しておくようにしましょう

そして、商品の取り扱いが決まったときは、まず最初に自社商品マスタへの商品登録を行い、商品コードの発行を済ませてください。

その後で、他のシステムへの連携やECモールなどへの出品用データの作成を行う、という業務フローを設計すると良いでしょう。

項目は最低限必要なもののみに絞る

多くの販売チャネルを持っていたり、複数のシステムを使いこなしたりしている事業者の場合、必要とされる商品の情報も多くなる傾向があります。

それらの情報をすべて商品マスタに盛り込んでいけばいいかというと、そんなことはありません。

商品マスタで管理する情報を増やしすぎると、マスタ登録やメンテナンスの作業負荷が膨らんでしまい、かえって業務効率を下げることになります。

商品マスタの項目は、最低限必要なもののみに絞るようにしましょう

たとえば、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の商品カテゴリ情報を登録する項目を別々に用意する、というようなやり方は避けてください。これらの情報は、出品用データを作成するタイミングで、関数などを使って機械的に変換すべきです。

社内の商品マスタは一元化する

社内で使用する商品マスタは1つにまとめましょう。部門ごとに別々のマスタを使っていたり、部門独自の商品コードで管理していたりすると、誤解や混乱の原因になります。

また、特に商品マスタを複数人で管理する場合、さまざまなバージョンのマスタが散らばっていて、どれが最新版か分からないという事態も避けるべきです。

クラウドストレージなどを利用して、誰でも常に最新のマスターデータを扱える状態にしておきましょう。

定期的にメンテナンスを行う

商品マスタには定期的なメンテナンスが欠かせません。

商品の価格改定など、都度行う編集作業とは別に、マスタ全体を見直して最適な状態に保つためのメンテナンス作業を定期的に行うようにしてください。

商品マスタの作成・維持管理を効率化する方法は?

商品マスタの準備ができたら、次は実際に商品情報を登録していく必要があります。

ただデータを入力していくだけだから簡単… かと思いきや、実はここで躓いている企業が非常に多いという現実があります

というのも、SKUが数百点規模になると、商品をマスタに登録するだけで、その作業量は膨大になるからです。

仕入先が提供してくれる商品情報は整理されておらずバラバラなのが普通です。従って、目視でチェックし、自社のカテゴリ分類につけ直し、不足情報を補い、新しい商品コードを発行して… といった作業が必要になります。

それを一つずつ手作業で処理するのは、業務量的にも精度的にもほとんど不可能でしょう

「商品マスタ自体は作れたんだけど、ちゃんと整理してマスタ登録できていない」
「とりあえず入れてる状態になっていて、マスタとして使える状態を維持できない」

こんなご相談をいただくことは本当に多いです。

そこで、ここからは、商品マスタの作成や維持管理を効率化するアイデアについて紹介していきます。

【効率化アイデア1】データ変換用エクセルファイルを用意しておく

仕入先からある程度の商品情報が入力された商品リスト・納品書などを提供してもらえる場合、それらのデータをマスタ登録用データに変換するためのExcelファイルを別途用意しておく、という方法があります。

商品リストや納品書は、事業者ごとに共通の書式を使っている可能性が高いです。従って、とりあえず1社につき1つずつ変換用ファイルを作成しておけば、書式が変更されない限りは使い回すことができそうです。

これにより、商品マスタ登録作業をある程度は簡略化できるようになります。

注意点として、この方法では、漏れなく完璧に変換するのは難しいということ。そのため、あくまで下処理として活用するものとし、最後は人の手で調整を行うようにしましょう。

取り扱い商品のバリエーションが少なく(数十種程度)、仕入先が数社程度の事業者ならば、この方法である程度うまく運用できる可能性があります。

【効率化アイデア2】データ変換ツール(ETLツール)を利用する

ETLツールとは、事前に定義したルールに従ってデータを変換するツールのことです。「DataSpider」「Talend」などが代表例です。

ETLツールなら、【効率化アイデア1】で挙げたExcel関数やマクロを使う方法より、精緻なデータ変換が可能になります。

商品点数や仕入先が多くなり、Excelでの変換作業では捌ききれなくなった事業者には有力な選択肢となるでしょう。

ただし、注意すべきポイントが2つあります。

  1. 使いこなすには一定の知識が必要になる
  2. 変換パターンが数十以上になると捌ききれない

1点目は、使いこなすのに一定の知識が求められるということ。ほとんどのツールが「ノーコード」を謳ってはいるものの、マスターデータへの変換というユースケースでは、エンジニアがいないと使いこなせないケースがよくあります

2点目は、数十パターン以上の変換が必要になる場合、工数的に対応しきれなくなる事業者が多いということ。ETLツールはあくまで「変換」に特化した製品なので、変換後のデータをマスタに追加する作業は人の手で処理しなければなりません。常時10〜20程度の変換パターンで捌けるうちは耐えられますが、50、100… と変換パターンが増えていくと、作業が煩雑になり対応しきれなくなることが多いです。

以上のことから、ETLツールが最適なのは、次の2つの条件を満たす事業者となります。

  • 社内にエンジニアなどツールを使いこなせる人材がいる
  • 最大20パターン程度の変換ルールで足りる

【効率化アイデア3】マスタ管理ツールを利用する

マスタ管理ツールとは、文字通りマスタを管理するツールのことです。MDM(Master Data Management)システムとも呼ばれます。

MDMツールの中には、ETLツールのようなデータ変換機能を備えた製品もあり、そうした製品であれば、「データ変換」から「商品マスタへの追加」を一連の処理として実行させることができます。

MDMツールは、ETLツールと違い、システム側にマスターデータベースを持つことができます。従って、たくさんの変換パターンが必要な事業者であっても、変換作業が煩雑になりにくく、複数の担当者が操作するようなケースでも混乱しにくいという特徴があります。

注意点として、MDMツールは、ERPや基幹システムのいち機能として提供されている製品が多いため、現在ERP・基幹システムを導入していない事業者の場合、これらを導入するところから検討しなければなりません。

そのため、稼働するまでに数百〜数千万円規模の予算と数か月単位の導入期間が必要になります。また、実際に導入するとなれば、社内のあらゆる部門で業務オペレーションを再設計しなければならず、ハードルはかなり高いといえるでしょう。

既にERP・基幹システムを利用していて、そのシステムにMDM機能を追加できる場合は、極めて有力な選択肢になります。

商品マスタ作成・管理のお悩み、解決します。

私たちネットレックスでは、強力なデータ変換機能を備えたマスタ管理専用ツール「ビズリポ」を開発・提供しています。

ビズリポでは、多種多様なデータを一定のルールに従い自動変換し、システム上のマスターデータベースに保持。同時に、多種多様な形式・接続方法で外部に配信することができます。

変換ルールは、あらかじめ対応済みのシステム・プラットフォーム向けだけでなく、独自に定義することもできるので、どのようなデータ/システムとも連携させることが可能。

月々6万円から利用できるので、ELTツールやERP・基幹システムより、ずっと手軽にお試しいただけます。

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少しでも気になった方、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた⼈

ビズリポ編集部

ビズリポの開発およびカスタマーサクセスのメンバーが書いています。

 

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